MRIについて
MRI検査
MRI検査では、強い磁石と電波を用いて体内の状態を調べています。この電波はラジオで使われているようなもので、それと磁石による磁場が体内の水素原子を揺さぶります。その様子を画像にすることで体内の水分や血流の状態を詳細に確認することができます。X線を使わないため被ばくの心配がなく安全ですし、血管や脳、脊椎、四肢、関節などの状態を把握できるため、さまざまな病気の発見に役立ちます。特に脳組織の萎縮や腫瘍の有無、脳血管の状態を調べるためには欠かせない検査です。それ以外にも、下記の表にあるように幅広い診療科の多彩な疾患の発見に有効です。
診療科 | 疾患 |
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脳神経外科・神経内科 | 脳の腫瘍、脳血管疾患、脳動静脈奇形、外傷、認知症、パーキンソン病など |
消化器外科・内科 | 肝・胆・膵の病変、MR胆管膵管撮影(ERCP) |
整形外科 | 頸椎症、胸椎・腰椎のヘルニア、脊柱管狭窄症、脊髄腫瘍、脊髄奇形、骨軟部腫瘍、関節の靭帯損傷、半月板損傷など |
泌尿器科 | 腎臓・尿管・膀胱の異常 |
婦人科 | 子宮・卵巣の異常 |
耳鼻咽喉科 | 頭頸部癌の発見(頭頸部癌に対する定位放射線治療の豊富な経験があります)、咽頭・喉頭の異常、聴神経腫瘍など |
眼科 | 眼窩や眼球内部の腫瘍など |
MRA検査
MRI検査で脳の血管を描出します。脳血管障害の有無やリスクを判断できます。頚動脈から脳内の動脈に狭窄や閉塞がないかを確認し、くも膜下出血の原因となる脳動脈瘤を見つけだす検査になります。破裂する前にカテーテル治療などを行うことで重篤なクモ膜下出血の予防も可能になります。脳梗塞、脳動静脈奇形、もやもや病、閉塞性動脈病変などの早期発見に役立ちます。
高性能1.5TのMRI完備
当院では、GE社製『SIGNA Creator』という最新の1.5テスラMRI装置を導入しています。これにより、MRI、MRA、VSRAD(認知症分析)などの検査をその日のうちにすべて行うことができます。
検査結果は当日ご説明
脳神経外科の専門医として長いキャリアを積み上げてきた院長が、問診から読影・診断までトータルに行っています。検査画像をご覧いただきながら、結果をその日のうちにわかりやすくご説明しています。
頭部、眼窩、頭頸部、頚椎、腰椎以外のMRI検査については、放射線科専門医に読影を依頼して、レポートをもとに結果説明させていただきますので、この場合には即日結果にはなりませんのでご了承ください。
MRI検査が受けられない方
下記の内容に当てはまる場合、検査部位にかかわらずMRI検査は受けられません。事前にご相談ください。
また、以前に受けた手術や検査などの内容によっては、手術や検査を行った医療機関にMRI検査が可能かどうかを確認する必要が生じる場合があります。
- 心臓ペースメーカー(可能なものもあります)、除細動器を使用している
- 人工内耳、人工中耳を使用している
- 脳深部刺激装置を使用している
- 脊髄刺激装置を使用している
- 眼球内に金属片がある
- 骨折などの手術で金属を入れている(可能なことが多い)
- 子宮避妊具を使用している
- 1ヶ月以内に血管内ステントや血管内フィルターを挿入した
- 2週間以内に内視鏡検査でポリープを摘出し、止血用クリップを使用した
以前受けた手術や検査で確認が必要なもの
- 過去に頭部のシャント術、脳動脈瘤クリップ手術を受けたことがある
- 刺青、タトゥー、アートメイクが入っている(軽いやけどになることがあります)
- 磁石式義歯を入れている
- 歯科矯正をしている
- 材質が確認できない金属がある
MRI検査についてのQ&A
MRI検査はどんな検査ですか?
MRI検査とは、磁場と電波を利用した検査で、体内の水分や血液などの情報を解析して断層画像を描出します。検査はあおむけに寝て、トンネルのような筒の中に入って受けます。磁力を使った検査ですから、被ばくの心配もなく、人体への悪影響や痛みなどの苦痛もありません。ただし、強力な磁力を用いるため、体内に金属がある場合には検査できないこともあります。そのため、事前のご相談が不可欠です。
MRI検査はどのくらいの所要時間でできますか?
検査室に入って出てくるまで最短30分で行っています。頭頸部以外の、肩や腕、膝など整形外科領域のMRI検査の場合は撮影に約1時間ほどかかります。
閉所恐怖症なので狭い筒に入るのが不安です
MRI検査では、事前に患者さんに呼び出しブザーをお渡しし、「もう無理」と感じたらすぐに知らせることができるようにしています。検査中に気分が悪くなったり、不安が強くなって我慢できそうにないと感じたら、躊躇せずブサーを押して担当者にお知らせください。
内部を見ることで恐怖を感じることが多いため、アイマスクをしていただくと恐怖感がやわらぐこともあります。はじめから無理だと思わず、チャレンジしてみましょう。
妊娠中ですがMRI検査を受けられますか
大丈夫です。これまでは胎児への影響についてはっきり分かっていなかったため、妊娠中には行うべきでは無いとされていましたが、2016年9月にカナダのトロントにある聖ミカエル病院から安全だとする論文が発表されました。「妊娠中のMRI検査の胎児期及び幼年期への影響」という論文で、胎児の成長において最も過敏性の高い妊娠初期にMRI検査を受けた場合でも、妊婦さんと子供に問題無かったという結論です。
(Association Between MRI Exposure During Pregnancy and Fetal and Childhood Outcomes JAMA. 2016;316(9):952-961. doi:10.1001/jama.2016.12126)
MRI検査を依頼される医療機関の方へ
当院では、他院からご依頼いただいたMRI検査にも対応しています。脳神経外科・神経内科以外の幅広い診療科で有効な検査が行えますが、特に整形外科の関節の診断に大きく役立ちます。担当されている患者さんのMRI検査が必要になった場合には、ぜひご紹介ください。患者さんから予約をとっていただければスムーズに行えますのでよろしくお願いいたします。
脳脊髄などのMRI検査に関しては、検査・治療の長いキャリアを持っている専門医が読影と画像診断を行って即日結果をお伝えし、データをCDに記録してお渡ししています。
頭部、頭頸部、脊椎以外のMRI検査については、放射線科専門医に読影を依頼して、
レポートをもとに結果説明させていただきますので、この場合には即日結果にはなりませんのでご了承ください。読影医による報告書を後日、ご依頼いただいた医療機関様にFAXして、原本を郵送いたします。
当院に導入されているGE社製の『SIGNA Creator』は、詳細な画像データを短時間で得ることができ、撮影時の音も従来の製品に比べて静かです。そのため、患者さんにとっても負担の少ない検査が可能です。
ご予約から検査結果まで
Step1.ご予約
ご予約は、診療予約ページからネット予約していただくか、電話にてお願いいたします。
TEL | 042-794-6327 |
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検査のご依頼では、必要な検査部位、病名などが記載された診療情報提供書が必ず必要になりますので、検査当日にご持参いただきます。
Step2.検査
検査当日は予約時間内に当院の受付にお越しいただけるよう、患者さんにお伝えください。
保険証や診療情報提供書を必ずご持参いただくようにしてください。
Step3.検査結果
撮影した画像はCDに記録します。そのCDを患者さんにお渡しします。
一般X線撮影装置(レントゲン装置)
FPD(フラットパネルディテクタ)
当院では、放射線被ばくについて注目される今、患者さんに安心して検査を受けていただけるよう、一歩進んだ技術を搭載した装置であるFPDを採用しています。
体を透過した X 線(エックス線)を、この FPD で受け取り、デジタル信号に変換することによってレントゲン写真を得る装置です。従来の装置と比べて、X 線の感度が高いため、より少ないX線量での検査が可能となり、高画質でノイズの少ない鮮明な画像を得ることができます。これにより、正確な診断に必要な画像を提供することができます。
頚動脈エコー(頚動脈超音波)
頚動脈は脳へ血液を送る重要な動脈で、動脈硬化によって血管の壁が厚くなったり、プラークや血栓などにより血管が細くなったりします。これを放っておくと脳卒中を引き起こす恐れがあります。高血圧、糖尿病、高脂血症など生活習慣病がある方は動脈硬化を生じやすく、重い病気になりやすいため注意が必要です。
エコー検査による断層撮影により、血管の壁の厚みや血管の内側の状態、血液の流れ方などが分かります。
エコー(超音波)は放射線による被ばくがなく身体に優しい検査です。仰向けで寝ていただき、検査部位にゼリーのついたプローベという器具を当てて観察します。検査はだいたい15分くらいで終わります。
当院の機種は、GEヘルスケアのVersana Balance ベルサナ・バランス)です。
動脈硬化検査
あなたの血管年齢、動脈硬化度、気になりませんか?
高血圧症は約3,970万人、脂質異常症は約4,220万人、糖尿病は約2,050万人というように現代社会は動脈硬化危険因子であふれています。
日本人の死因の約25%は「脳梗塞」や「心筋梗塞」など、動脈硬化が原因の疾患です。
ですから、これからのプライマリケアに必要なことは動脈硬化の測定です。
血圧測定はもはや常識になったいま、日常的に動脈硬化検査ができればより良い診療ができると考え、当院ではいつでも簡単に検査出来る機械を導入しました。
検査機器:血圧脈波検査装置 VS-2000(フクダ電子)
動脈硬化測定、それはABI、CAVI、血管年齢です。
CAVI(キャビィ)
CAVI(キャビィ)は大動脈を含む、心臓から足首までの動脈の硬さをあらわすもので、動脈硬化が進行するほど高い値となります。大動脈の進展性の低下は心疾患の発症や予後を規定する因子となることが知られており、早期診断と管理に役立ちます。
-
CAVIが低い
柔らかでしなやかな血管
血圧が上がると大きくふくらむ -
CAVIが高い
動脈硬化を起こした血管
血圧が上がっても膨らみは小さい
ABI
ABIは、下肢動脈の狭窄・閉塞を評価する指標です。上腕と足首の血圧から算出されます。ABIは非侵襲的な検査で数値として評価できるので、PAD患者の早期発見に有用です。PAD(末梢動脈疾患)は、心血管疾患や脳血管疾患など他臓器障害との合併が多く見られることからも、早期発見が重要です。
血管年齢グラフ
動脈硬化の危険因子を持たない人たちの平均値と対比することで、血管年齢を評価する事ができます。
同年齢の健常者よりCAVIが高い場合は、それだけ動脈硬化が進んでいると考えられます。動脈硬化を促進する糖尿病や高血圧などを合併しないよう、生活習慣病を是正することが望まれます。
検査機器
心電図:解析付心電計 フクダ電子 FCP8300
ホルター心電図:フクダ電子FM-960
院内迅速検査機器:外来で当日検査結果を知ることができる機器を導入しています。
迅速自動血球計数CRP測定装置:フクダ電子 Microsemi LC-787CRP
迅速血糖、HbA1c 測定器:三和化学 A1cGear Quick S
迅速電解質検査:アークレイ イオン選択性分析装置 スポットケムEL
全血、血清、血漿、尿。いずれも、わずか22μLという微量な検体でNa、K、Clの3項目を同時に測定できます。